弦の感想:Winner WR166-N

4.5
Winner WR166-Nのパッケージ画像
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久々の弦のレビューです。中国メーカーのプロ向けクラシックギター弦であるWinner WR166-Nをハウザー2世に張りました。メーカー自ら「プロ向け」と称していますが、そのうたい文句は伊達ではありませんでした。

この記事を書いた人
かーる

クラシックギター歴35年、国際コンクール入賞経験を持つ演奏家・レビュアー。「ヘルマン・ハウザー2世」や「ヘスス・ベレサール・ガルシア」を愛用し、演奏者視点で忖度ない機材レビューを発信中。弦のレビュー数は70種類以上。
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Winner WR166-Nの感想まとめ

まず、Winner WR166-Nの感想を表でまとめます。

項目内容
高音弦の音程使用した個体は良好。
高音弦の音色明るい音。弾けるような音で、こもりがない。少し腰高ではあるが、癖がなくて使いやすい。
高音弦のテンション少し弱めで弾きやすい。
低音弦の音色バランスが良い音。キレの良さと重厚な音のちょうど中間で、使う楽器を選ばなさそう。
低音弦のテンション少し弱めで弾力がある感触。
その他の特徴低音弦のナノポリッシュコーティングによって非常にさらさらとした手触りになっており、フィンガーノイズが少ない。
ハウザー2世との相性高音弦は少し明るすぎるか?低音弦は常用しても良いレベル。
ベレサールとの相性(未使用)
Winner WR166-Nを使った感想

中国からの黒船「Winner」

Winnerは日本に初めてやってきた中国製の格安でないクラシックギター用弦ブランドです。

中国製のクラシックギター弦はこれまでにもAliceというブランドやノーブランド品で日本に入ってきていましたが、それらは安さを売りにしたものでプロや本格的に演奏するアマチュア向けのものではありませんでした。

WinnerはAliceを製造している広州羅曼斯楽器製造有限公司が満を持してリリースした高品質クラシックギター弦です。

今回はWinnerのラインナップの中から、ノーマルテンションで1、2弦がナイロン、3弦がカーボンである WR166-Nをレビューします。

高級感を感じさせる落ち着いたパッケージ

まずはパッケージを開封していきます。

パッケージ表面には型番とテンション、高音弦の構成が書かれています。黄色い線は何をあらわしているのでしょうか?

Winner WR166-Nのパッケージ画像

パッケージ裏には弦の太さとテンションが書かれています。一般的なテンション設定です。

パッケージは全体的に中国語がないのですが、ここだけシールで中国語の表記があります。各国の代理店ごとに貼るためのスペースなのかもしれません。

Winner WR166-Nのパッケージ裏の画像

パッケージ裏を破るとWinnerのコンセプトが書かれています。ここも無駄に派手じゃなく、落ち着いていていいですね。

Winner WR166-Nのパッケージ裏を開けたところの画像

パッケージ横には「プロ向け」と書かれています:

Winner WR166-Nのパッケージ横の画像その1

もう一方にはキャッチフレーズが。「ひたむきに、そして勝者となれ」といったところでしょうか:

Winner WR166-Nのパッケージ横の画像その2

べたべたしない弦番号タグ付き

パッケージをさらに開けると、低音弦の構成が書かれています:

Winner WR166-Nの低音弦の構成

比較的新しい弦なので芯線にも新しい素材を使っているかと思ったのですが、昔ながらのナイロンのようです。

そしてナイロン芯線の周りに銀メッキをした銅線を巻き付け、その上に非常に薄いナノポリッシュコーティングがされています。

「ポリッシュ(磨き)」ということは単にコーティングしただけでなく、そのあとで磨きの工程が入っているのでしょうか。後述しますが、このコーティングは伊達ではありませんでした。

さらにその中に紙のようなプラスチックのような感触の内袋があり、その中に弦が入っています:

Winner WR166-Nの内袋と弦

各弦には弦番号を示すタグが付いているのが親切です。このタグ、ダダリオと違って外しても弦がべたべたしません(笑)。

低音弦はギラギラの銀色ではなく、少し黄色がかった色でした。この色は比較的昔ながらの弦に多い色だと思いますが、メッキの配合によるものでしょうか。

高音弦は非常に透明度が高いです。カーボン弦の3弦も透明で、ぱっと見ナイロン弦と区別がつきません:

Winner WR166-Nの弦

Winner WR166-Nをハウザー2世に張ったレビュー

それではこのWinner WR166-Nをハウザー2世に張った感想をレビューをしたいと思います。

明るく曇りのない音色の高音弦

高音弦は張った直後はぼやけた音なのですが、そこから弦が伸びていくと印象が一変し、明るく曇りのない音色になります。

ほかの弦で例えるならサバレスのニュークリスタルノブロックのQZナイロン系の音です。

楽器や人によっては音がキンキンしすぎるかもしれません。私+ハウザー2世の場合はぎりぎり許容できるかできないかくらいのキンキンさでした。

テンションは少し弱めの印象で弾きやすいです。

1、2弦も明るい音なので、カーボン弦の3弦だけ音色が違うということがなく、音色のつながりは良好でした。むしろ、この1、2弦なら3弦がナイロン弦のセット(WR150-N/WR150-H)でも良いのでは?と思うほどです。

音程は私が使った個体は全く問題ありませんでした。1、2弦はほぼほぼ問題なく、3弦が12フレットで比較すると少し上ずる程度です。

バランスの良い音色の低音弦

低音弦もサバレスのコラムのような明るくはじけるような音かと思いきや、こちらはバランス重視の音色でした。

低音弦は重厚な音にすると軽快さが失われ、レスポンスを重視すると腰高になるのですが、Winner WR166-Nはそのちょうど中間を狙った印象です。

弾き方によって調整ができるという意味で非常に使いやすい弦であると思います。

ハウザー2世との相性も良く、この低音弦だけ売ってくれれば別の高音弦と組み合わせて使っても良いと思うほどです。

もともと安いのでWR166-Nにほかの1弦を組み合わせるのもありかもしれません。

ナノポリッシュコーティングの手触りが気持ちいい!

WR166-Nを張って弾いて一番印象に残ったのは、ナノポリッシュコーティングの手触りの気持ちよさです。

巻弦の凹凸をほとんど感じず、非常にさらさらとした手触りになっています。

たとえば昔ながらのオーガスチンの青などは巻き線が荒く、むしろべたべたしたような手触りですがそれとは対照的でした。

こちらの記事でご紹介したように、低音弦の音が劣化する原因は汗や皮脂による腐食と、巻弦の隙間への汚れの堆積です:

これだけさらさらした感触なら寿命の長さにも期待できそうです。寿命についてはもう少し使い込んでから追記したいと思います。

また、巻弦の上を左手の指が滑るときに発生するフィンガーノイズもかなり低減されています。

ちょっとすぐには正確に思い出せないのですが、ダダリオのXTコーティング以上のさらさら度ではないかと思いました。

販路が限られているのが難点

非常に好印象のWinnerですが、現状の問題は入手性の悪さです。

現時点で取り扱いがあるのがギターショップアウラか琦材楽器店しかありません。

琦材楽器店はメルカリで販売しているので比較的入手性が良いといえば良いのですが、実店舗だとアウラくらいしかなく、アウラはWR166-Nしか扱っていません。

今後人気が出てくれば正式に日本の代理店ができていろいろな店で出回るのでしょうが、そうなると中間マージンが発生して高くなりそうなので一長一短ですね。

中国製だからといって避ける必要はない、普通に候補の1つになる優秀な弦

Winner WR166-Nを実際に使って思ったのは、この弦が中国製だからといって避ける必要は全くないということです。

音色も品質も他の有名弦メーカーに劣ることはなく、「プロ向け」といっているのは伊達ではありませんでした。

それでいて他の弦メーカーの弦よりも安いのですから素晴らしいです。最近は弦の値上がりが激しいので、こういう弦が出てきてくれたのはありがたいですね。

今回は3弦がカーボン弦のWR166-Nを試しましたが、全弦ナイロン弦のWR150-Nもいずれ試してみたいと思います。

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