クラシックギターの弦は普通はブリッジ側は結び付けて固定します。これに対してアコースティックギターやエレキギターはボールエンドと呼ばれる差し込むだけの方式が主流です。クラシックギターにも実はボールエンド方式の弦が存在します。

ボールエンドの弦とは
クラシックギターしか弾かない人にとってはそもそもボールエンドって?となるかと思います。
クラシックギターの弦は通常両端に何もついておらずまっすぐですが、アコギやエレキの弦には下の写真のような輪っかがついています:

これを使ってブリッジから弦が抜けないようにします。クラシックギターのようにブリッジに結びつけるタイプよりも簡単で抜けづらいです。
簡単に言うと以下の記事で紹介している弦留めチップが弦メーカーが出荷するときについているようなものです:

ある意味合理的です。
ちなみに、アコギのようなタイプをボールエンド(ball end)と呼ぶのに対し、クラシックギターのようなブリッジに結び付けるタイプはタイエンド(tie end)と呼びます。
ボールエンドのクラシックギター用弦も存在する
そんな便利なボールエンド弦ですが、実はクラシックギター用のナイロン弦のものも存在します。

上の写真はマーティンのクラシックギター用ボールエンド弦です。
見づらいですが、低音弦はアコギ用と同じ輪っかがついています。これがブリッジの穴に引っかかり抜けない仕組みです。一方、高音弦にはプラスチック製の部品がついており、これが引っかかります。
ボールエンドのクラシックギター用弦には以下のような特徴があります:
- 音作りが異なる
- 価格が安い
- 弦留めチップと同じ効果があってお買い得
音作りが異なる
このナイロン弦のボールエンド弦は普段クラシックギターを弾かないアコギ弾きやエレキ弾きが、エレアコやナイロン弦のギターに弦をつけやすいように売られています。
が、別にクラシックギター弾きが使っても問題ありません。
テンションが気になるかもしれませんが、実はそれほど普通のクラシックギター弦と変わりません。
| プロアルテ ノーマル (EJ45) | フォーク ナイロン (EJ32C) | |
| 1弦 | 7.35 kg | 7.35 kg |
| 2弦 | 5.46 kg | 5.35 kg |
| 3弦 | 5.39 kg | 5.35 kg |
| 4弦 | 7.08 kg | 6.87 kg |
| 5弦 | 7.21 kg | 7.35 kg |
| 6弦 | 6.44 kg | 7.13 kg |
| 合計 | 38.92 kg | 38.39 kg |
上は普通のナイロン弦であるダダリオのプロアルテ ノーマルとボールエンドのフォーク ナイロンのテンションを比べた結果です。見ての通り、合計は大きく違いません。
各弦ごとのテンションが異なるのは音作りの差なのでしょう。フォークナイロンはアコギ弾きやエレキ弾きも視野に入れているので、純粋なクラシックギター弾きをターゲットにした製品とは違う音作りをしていると思われます。単純にプロアルテの弦にボールエンドの部品をつけただけではありません。
もしかするとこれまでどのクラシックギター用の弦を使ってもしっくりこなかった人もボールエンド弦を使うと新たな世界が見えるかもしれません。
価格が安い
アコギやエレキ用の弦はピンからキリまでありますが、安いものはクラシックギターよりもずっと安いです。
楽器人口の数の違いのためだと思われますが、ボールエンドの弦も希少なので高いかと思いきや、このアコギやエレキ弦のトレンドに乗っかって安いです。
ダダリオの公式HPの価格によると、
- プロアルテノーマル (EJ45) : $8.99
- フォークナイロン (EJ32C) : $7.99
となっており、普通のプロアルテよりも安い値付けとなっています。ただし、この価格が日本に来た時にどうなるかはまた別問題です。。。
弦留めチップと同じ効果があってお買い得
上でも紹介しましたが、クラシックギターには弦とブリッジの角度を変えてクリアな音にする弦留めチップと呼ばれるアクセサリがあります:

結びつけてしまうと結び目に弦が上に引っ張られてしまうのですが、弦留めチップを使うと結び目がないので角度が大きくなります。
ボールエンドはいわば弦留めチップがついている弦なので同じ効果が得られます。
弦留めチップは別で買わなくてはいけない上に毎回自分でつけないといけませんが、ボールエンドなら最初からついているうえに価格も織り込まれています。
その意味ではお買い得といえます。
ボールエンドのクラシックギター弦紹介
それでは実際、どのような製品があるのでしょうか?
ダダリオ フォークナイロン ボールエンドシリーズ (D’Addario Folk Nylon Ball End)
世界的な弦メーカーであるダダリオはボールエンドのナイロン弦をしっかりと用意しています。
全部で4種類です。
相変わらず型番のつけ方が謎ですが、要は高音弦2種類と低音弦2種類の組み合わせです。EJ32Cが一番クラシックギター弦に近いです。ブラックナイロンは透明なナイロン弦よりもはっきりした音といわれています。80/20ブロンズはアコギの低音弦によく使われる素材です。
ダダリオ EJ33 フォークナイロン ボールエンド クラシックギター弦
ダダリオEJ33は、高音弦にクリアナイロン、低音弦に80/20ブロンズ巻き弦を採用したボールエンド仕様のフォークナイロン弦セットです。ボールエンドにより簡単かつ確実な弦装着が可能で、フォークソングや弾き語りにぴったりな温かみのあるアコースティックサウンドを提供します。
詳細スペック・テンション表を見る
Characteristics
| 弦 | 太さ (mm / inch) | 張力 (kg / lbs) | 材質 |
|---|---|---|---|
| 1弦 | 0.7112 mm (0.028″) | 6.94 kg (15.3 lbs) | クリアナイロン |
| 2弦 | 0.8128 mm (0.032″) | 5.26 kg (11.6 lbs) | クリアナイロン |
| 3弦 | 1.016 mm (0.04″) | 5.26 kg (11.6 lbs) | クリアナイロン |
| 4弦 | 0.7874 mm (0.031″) | 6.89 kg (15.2 lbs) | 80/20ブロンズ巻 |
| 5弦 | 0.9398 mm (0.037″) | 6.8 kg (15 lbs) | 80/20ブロンズ巻 |
| 6弦 | 1.143 mm (0.045″) | 6.26 kg (13.8 lbs) | 80/20ブロンズ巻 |
アーニーボール (Ernie Ball)
アコギやエレキの弦では有名なアーニーボールもボールエンドのナイロン弦を出しています。面白いことにこちらもダダリオと同じく高音2種と低音2種の組み合わせです。
| 型番 | 内容 |
| Ernesto Palla 2403 | 透明なナイロン弦の高音弦、銀メッキの低音弦 |
| Ernesto Palla 2406 | ブラックナイロンの高音弦、銀メッキの低音弦 |
| Earthwood 2069 | 透明なナイロンの高音弦、80/20ブロンズの低音弦 |
| Ernesto Palla 2409 | ブラックナイロンの高音弦、80/20ブロンズの低音弦 |
なんでEarthwood 2069だけ違う名前なんだろう?という疑問はあります。
アーニーボールのボールエンドナイロン弦はダダリオよりも安いです。
アーニーボール 2403 エルネスト・パラ クリア&シルバー クラシックギター弦
アーニーボールのエルネスト・パラシリーズは、高品質な単線ナイロン高音弦と銀メッキ銅巻の低音弦で構成されたコンサートクオリティのクラシックギター弦です。バランスの取れた温かみのあるトーンと柔らかい演奏性が特徴です。
詳細スペック・テンション表を見る
Characteristics
| 弦 | 太さ (mm / inch) | 張力 (kg / lbs) | 材質 |
|---|---|---|---|
| 1弦 | 0.7112 mm (0.028″) | 7.03 kg (15.5 lbs) | クリアナイロン |
| 2弦 | 0.8128 mm (0.032″) | 5.35 kg (11.8 lbs) | クリアナイロン |
| 3弦 | 1.016 mm (0.04″) | 5.49 kg (12.1 lbs) | クリアナイロン |
| 4弦 | 0.762 mm (0.03″) | 7.08 kg (15.6 lbs) | 銀メッキ巻弦 |
| 5弦 | 0.9144 mm (0.036″) | 6.8 kg (15 lbs) | 銀メッキ巻弦 |
| 6弦 | 1.0668 mm (0.042″) | 6.35 kg (14 lbs) | 銀メッキ巻弦 |
マーティン (Martin)
アコギで有名なマーティンもボールエンドのナイロン弦を出しています。こちらは高音1種類、低音2種類のバリエーションです。
| 型番 | 内容 |
| Martin M160 | 透明なナイロン弦の高音弦、銀メッキの低音弦 |
| Martin M260 | 透明なナイロンの高音弦、80/20ブロンズの低音弦 |
さすがマーティンだけあって日本でも手に入りやすいです。
マーティン M160 シルバープレート ボールエンド クラシックギター弦
マーティン M160は、ボールエンド仕様を採用することで弦交換を容易にしたクラシックギター弦セットです。クリアナイロン高音弦とシルバーメッキ低音弦の組み合わせにより、温かみのあるバランスに優れた音色を実現しています。
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Characteristics
| 弦 | 太さ (mm / inch) | 張力 (kg / lbs) | 材質 |
|---|---|---|---|
| 1弦 | 0.7112 mm (0.028″) | 6.85 kg (15.1 lbs) | クリアナイロン |
| 2弦 | 0.8128 mm (0.032″) | 5.26 kg (11.6 lbs) | クリアナイロン |
| 3弦 | 1.016 mm (0.04″) | 5.49 kg (12.1 lbs) | クリアナイロン |
| 4弦 | 0.762 mm (0.03″) | 7.08 kg (15.6 lbs) | 銀メッキ巻線 |
| 5弦 | 0.889 mm (0.035″) | 6.35 kg (14 lbs) | 銀メッキ巻線 |
| 6弦 | 1.0922 mm (0.043″) | 6.35 kg (14 lbs) | 銀メッキ巻線 |
また、実はマーティンはタイエンドの普通のクラシックギター用弦を出しています。こちらは高音がMagnificoと呼ばれる独自の弦だそうです。かなり変わった弦を作っているアクイーラから供給されているのだとか。ナイルガットとかでしょうか?低音弦は銀メッキです。
| 型番 | 内容 |
| Martin M165 | ミディアムテンション |
| Martin M265 | ハイテンション |
マーティン M165 マグニフィコ シルバープレーテッド クラシックギター弦 ハードテンション
アクイーラ社との共同開発による独自の合成素材トレブルを採用したマーティンの最高級クラシックギター弦「マグニフィコ」シリーズ。ハードテンションならではの力強いプロジェクションと正確なピッチ感、透明感のある高音と華やかな銀メッキ低音のバランスが魅力です。
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Characteristics
| 弦 | 太さ (mm / inch) | 張力 (kg / lbs) | 材質 |
|---|---|---|---|
| 1弦 | 0.6604 mm (0.026″) | 7.35 kg (16.2 lbs) | マグニフィコ合成高分子 |
| 2弦 | 0.8128 mm (0.032″) | 6.26 kg (13.8 lbs) | マグニフィコ合成高分子 |
| 3弦 | 1.016 mm (0.04″) | 5.94 kg (13.1 lbs) | マグニフィコ合成高分子 |
| 4弦 | 0.762 mm (0.03″) | 7.48 kg (16.5 lbs) | 銀メッキ銅巻 |
| 5弦 | 0.9144 mm (0.036″) | 7.03 kg (15.5 lbs) | 銀メッキ銅巻 |
| 6弦 | 1.0922 mm (0.043″) | 6.71 kg (14.8 lbs) | 銀メッキ銅巻 |
ラベラ (La Bella)
クラシックギター用弦としてアンドリュー・ヨークが使っていることで有名なラベラもボールエンドの弦を出しています。
| 型番 | 内容 |
| Folk Singer 830 | ブラックナイロンの高音弦、金色の合金の低音弦 |
| Folk Singer 840 | 透明なナイロンの高音弦、金色の合金の低音弦 |
ラベラ 830 フォークシンガー ボールエンド クラシックギター弦
ラベラ830フォークシンガーは、クリアナイロン高音弦とシルバープレート巻低音弦に便利なボールエンド加工を施したクラシックギター弦です。結び留めの必要がなくスムーズに弦交換が行え、伴奏からソロプレイまでバランスの良い温かみのあるサウンドを提供します。
詳細スペック・テンション表を見る
Characteristics
| 弦 | 太さ (mm / inch) | 張力 (kg / lbs) | 材質 |
|---|---|---|---|
| 1弦 | 0.7112 mm (0.028″) | 6.94 kg (15.3 lbs) | クリアナイロン |
| 2弦 | 0.8128 mm (0.032″) | 5.49 kg (12.1 lbs) | クリアナイロン |
| 3弦 | 1.016 mm (0.04″) | 5.35 kg (11.8 lbs) | クリアナイロン |
| 4弦 | 0.7874 mm (0.031″) | 6.8 kg (15 lbs) | 銀メッキ巻線 |
| 5弦 | 0.9398 mm (0.037″) | 6.8 kg (15 lbs) | 銀メッキ巻線 |
| 6弦 | 1.1176 mm (0.044″) | 6.35 kg (14 lbs) | 銀メッキ巻線 |
GHS
エレキギターで有名なGHSもクラシックギター用のボールエンド弦を出しています。
GHS 2050W クリアナイロン ボールエンド クラシックギター弦
GHS 2050Wは、弦交換が容易なボールエンド仕様を採用したクラシックギター弦セットです。透明感のあるクリアナイロン高音弦と、明るくバランスの取れたシルバーメッキ巻き低音弦の組み合わせにより、扱いやすい弾き心地と素直な音色を実現しています。
詳細スペック・テンション表を見る
Characteristics
| 弦 | 太さ (mm / inch) | 張力 (kg / lbs) | 材質 |
|---|---|---|---|
| 1弦 | 0.7112 mm (0.028″) | 7.03 kg (15.5 lbs) | クリアナイロン |
| 2弦 | 0.8128 mm (0.032″) | 6.71 kg (14.8 lbs) | クリアナイロン |
| 3弦 | 1.016 mm (0.04″) | 6.35 kg (14 lbs) | クリアナイロン |
| 4弦 | 0.7366 mm (0.029″) | 6.89 kg (15.2 lbs) | シルバーメッキ |
| 5弦 | 0.8636 mm (0.034″) | 6.58 kg (14.5 lbs) | シルバーメッキ |
| 6弦 | 1.0922 mm (0.043″) | 6.35 kg (14 lbs) | シルバーメッキ |
実は好みの音の弦が見つかるかも?
ボールエンドのクラシックギター用弦は普段アコギを弾いている人にもターゲットを向けているだけあって、音作りは普通のクラシックギター用弦とは異なります。
このため、どうもどのクラシックギター用弦を使ってもしっくりこないという人は一度ボールエンドの弦を使ってみるといいかもしれません。ボールエンドが気に入らないなら切り落としてしまえばいいですし。
特に普段アコギを弾いていて、アコギの音が好きな人には合うかもしれません。
あまりメジャーではないですが、選択肢の1つとしていかがでしょうか。



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