プランティングとは 現代のクラシックギターの必須技術・奏法

クラシックギターのプランティング 練習
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プランティング(Planting)という技術はもはや新しいものではなく日本のクラシックギターの中にも取り入れられた技術のように思います。この記事ではそんなプランティングについてやり方や効果、練習方法について説明したいと思います。

プランティング(Planting)とは

そもそもプランティングとはどのようなものなのでしょうか。

プランティングのやり方

プランティングの概念は難しいものではありません。

一番わかりやすいのは弦を弾く前にその弦に指を一度置き、それから弾くというものです。

つまり、弦を弾く際に、一気に指を上から振り下ろして弾くのではなく、一度弦に触れたところで止めて、それから弦を弾きます。

ただし、単に指を弦において弾けばプランティングというわけではありません。後述するように、弦に触れてから弾くということをしないプランティングもあります。

プランティングの極意は今の音を弾いている間に次の準備をしておくところです

弦に触れるか否かはフレーズごとに最適な準備のための動作がどのようなものなのかによって決まり、触れればプランティングというわけではないのです。

プランティングのメリット

それではプランティングを行うことでどのようなメリットがあるのでしょうか?以下のようなメリットがあります:

  • タッチノイズが減る
  • ミスが少なくなる
  • 音色や音量がコントロールしやすくなる
  • 脱力につながる
  • 速弾きがうまくなる

以下でそれぞれについて説明します。

タッチノイズが減る

振動している弦に指や爪が強く触れるとビビり音がします。この音は音楽には(普通は)必要のない音であり、雑音です。

プランティングを行うと、振動している弦にやさしく触れることで消音し振動を止めることができ、そこから強く指と爪を触れて弦を弾くことでノイズのない音を出すことができます

ただし、このことは音色を変えることにもつながるので、場合によってはやらない方がいいこともあります。詳細は以下の記事を参照ください:

ミスが少なくなる

弾く前に弾くべき弦に指をセットできることから、ミスを少なくする効果があります。

どうしても上から指を振り下ろすと違う弦に当たることがありますが、事前にゆっくり準備をしておくことでミスのリスクを減らすことができます

音色や音量をコントロールしやすくなる

弦に触れたところからスタートできるので、弦に加える力、角度などの音色や音量に影響がある要素がコントロールしやすくなります

上から振り下ろす方法だと指や爪を弦にあてて、弦を押し込んで、離してとやるべきことが多いですが、これを弦に触れたところからスタートできることで余裕が生まれます。

脱力につながる

余裕をもって弾けることで脱力につながります。

特に速い曲では1つの音を出してから次の音を出すまでの時間が短く、力みがちです。

プランティングを行うことで余裕が生まれ、力みがとれ、脱力につながります

また、弦に近い位置に指を置いておくということは以下の記事でも書いた通り省エネにつながり、疲れを減らすことにもつながります。

速弾きがうまくなる

プランティングは速弾きのスキル向上にも役立ちます

速弾きの上達には、今の音を弾いている間に次の音の準備ができていなくてはなりません。シーケンシャルプランティングの癖をつけておけば、まさにこの準備が自然とできるようになるでしょう。

速弾きスキルの向上については以下の記事もご覧ください:

ギターの速弾きを科学する!脳と筋肉の限界を突破する4つの練習法
メトロノーム練習で速く弾けないのは努力不足ではありません。クラシックギターの速弾きを阻害する「脳のパニック」と「手の解剖学的ブレーキ」の正体を科学的に解明。ペペ・ロメロやカルレヴァーロの脱力メソッドから導く限界突破の効率的トレーニング法。

プランティングの言葉の意味は?

誰がこの言葉を作ったのかについてはよくわかりません。

英語でplantingは植物の植え付けや種まきを意味します。一度準備してから弾くという奏法を、種まきをしてから刈り取る植物の育成に例えたのでしょうね。

日本で一般的になったのはスコット・テナントの教則本であるPumping Nylonの日本語版が出版され、そこにPlantingについて書かれていたからだと思います。

プランティングは革新的な新しい奏法なのか?

プランティングという言葉は新しいものですが、やっていることは決して新しいものではありません。

昔からそれぞれのギタリストが無意識あるいは意識的にやっていたものです。

これがすべてのギタリストに必須の技術として紹介されて今のような形になっています。

プランティングの種類

プランティングには大きく分けて3種類あります。

フルプラント(Full Plant)

一連のアルペジオを行う前にすべての指を準備しておく方法です。

たとえば p → i → m → a と弾くアルペジオがあったとすると、pを弾く前にp, i, m, aすべての指を弾くべき弦にセットします。

(p, i, m, aの準備) → p → i → m → a

シーケンシャルプラント(Sequential Plant)

シーケンシャル(Sequential)は「逐次」の意味です。その名の通り、弾く直前に弦に指を順次セットします。

たとえば上の例では、

(pの準備) → p → (iの準備) → i → (mの準備) → m → (aの準備) → a

となります。

ミニマルプラント/ノンプラント

指を弦に触れない状態で次の音を準備するのがミニマルプラントやノンプラントと呼ばれるものです。弦のちょっと上で待機するイメージです。

プランティングは「弾く前に弦に触れておく」ことではなく、「今の音の間に次の音の準備をしておく」のが極意なので、これも立派なプランティングといえます。

フルプラントやシーケンシャルプラントでは弦に触れてから音を出すことから、どうしても音が途切れてしまいます。1つの弦でレガートに弾きたい時にはミニマルプラントのほうが適していることもあるでしょう。

どう使い分けるのか?

まず、フルプラントはアルペジオの和音を響かせ続けたい場合には使えません。フルプラントすることでその前に鳴らした音は消えてしまいます。前の音を残しながら次のアルペジオを行いたいときにはシーケンシャルプラントを使うべきです。

一方、アルペジオを歯切れよく弾きたいときにはフルプラントの方が消音ができるため適しています

ミニマルプラントは先述のように、音をできるだけ途切れさせたくない場合に有効です。

また、これらは1つのフレーズの中で混在してもよく、必要に応じて組み合わせて使われることもあります。

プランティングの練習方法

プランティングは頭で理解してできるものではなく、練習が必要です。では、どのように練習すればいいでしょうか?

開放弦で練習

最初のステップは開放弦です。6弦、3弦、2弦、1弦の開放弦を順にアルペジオで弾きます。

この時に

  • フルプラント
  • シーケンシャルプラント

を別々に練習します。

特にフルプラントは最初は違和感が大きくうまくできないと思います。弦の上にp以外の指を置いたままで弾くのは指がプルプルする感覚です。

ゆっくりからでいいので丁寧に練習します

これができたら、下降アルペジオ(1→2→3→6弦)も練習します。こちらも指がプルプルします。

アルペジオ練習で実践

次にアルペジオの練習曲で実践します。アルペジオの練習曲は何でもいいですが、ジュリアーニの120のアルペジオ練習がいろいろあっておすすめです。こちらの記事で紹介しています:

この120のアルペジオには単純な上昇/下降スラー以外のパターンも含まれていますし、和音がある場合もありますので、また指がプルプルします。それらをフルプランティング、シーケンシャルプランティングそれぞれで練習します。

弾きなれた曲で実践

これがスムーズにできるようになったら暗譜で弾ける弾きなれた曲で実践します。

その中の1フレーズだけでもいいのでプランティングを取り入れてみましょう。そこがフルプラントがいいのかシーケンシャルプラントがいいのか考えながら(試しながら)実践します。

ここまでできたら後は曲に応用していくだけです。

マスターは難しい、地道な努力あるのみ

何かとメリットの多いプランティングですが、特に日本では最初からプランティングありきで教えているような先生は少なく、やり始めは戸惑うことが多いと思います。

私もまだまだ練習中ですが、少しずつ慣れてきた気がします。

全部をプランティングにしなくてはいけない!という気持ちではなく、少しずつ効果のある所に取り入れて以降くらいの気持ちで地道に努力していくのがいいかと思います。

まさに種をまき、育て、刈り取るPlantingです。

できなくても楽譜通りに弾けないわけではないですが、音楽の幅を広げてくれるプランティングはぜひとも習得に挑戦してほしい技術の1つです。

練習豆知識
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この記事を書いた人
かーる(クラシックギター研究室 主宰)

クラシックギター歴35年、国際ギターコンクール入賞。愛器「ヘルマン・ハウザー2世」、「ヘスス・ベレサール・ガルシア」とともに、クラシックギターのプレイヤー目線の実践的ノウハウを発信しています。

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