【日本上陸】中国発の黒船か?プロ向け弦ブランド「Winner」を徹底解剖。 3弦カーボン、低音ナノポリッシュコーティングなどトレンドを押さえた仕様

Winnerのクラシックギター弦
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クラシックギター界はどちらかというと閉鎖的で、弦メーカーは比較的伝統あるメーカーおよび欧米メーカーばかり支持されています。そんな中、既存メーカーに真っ向勝負を挑む中国メーカーが日本に上陸しました。「Winner」というプロ向けをうたう弦ブランドについてご紹介します。

この記事を書いた人
かーる

クラシックギター歴35年、国際コンクール入賞経験を持つ演奏家・レビュアー。「ヘルマン・ハウザー2世」や「ヘスス・ベレサール・ガルシア」を愛用し、演奏者視点で忖度ない機材レビューを発信中。弦のレビュー数は70種類以上。
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1999年設立の中国メーカーのブランド

「Winner(ウィナー)」は中国広東省広州市を拠点とする広州羅曼斯楽器製造有限公司(Guangzhou Romance Musical Instruments Co., Ltd.)という企業のブランドです。

日本ではあまり知られていませんが、これまでに「Alice」というブランドで比較的安いクラシックギター、エレキギター、アコースティックギターの弦を販売していました。

自社工場で生産を行うメーカー

中国の弦メーカーといってもよくある、安い弦を適当に仕入れてパッケージにして売っているメーカーではありません

一貫した自社製造が特徴で、広州市内に約30,000平方メートルという広大なワークショップがあり、近代化された8棟の自社ビルを稼働させています。

この施設には楽器用弦の製造に特化した12のプロフェッショナル生産ライン、楽器アクセサリー用の8ライン、さらに弦の原材料加工を行う16のラインを設置。

素材の一次加工から最終製品のパッケージングに至るまで垂直統合された生産体制が特徴です。

NAMMなどにも積極的に出展

同社は設立当初から国際市場へのアプローチを積極的に行っており、NAMMなど世界的な楽器見本市に継続的に出展しています。

こういった活動により世界中の音楽トレンドや演奏家のニーズを吸収し、フィードバックした結果「WINNER」というプロ向けのブランド設立につながったものと考えられます。

Winnerのクラシックギター弦

そんな広州羅曼斯楽器製造有限公司が満を持してリリースしたプロ向け高品質ブランドが「Winner」です。

Winnerのクラシックギター弦を紹介します。

ナノポリッシュコーテングによる長寿命が特徴

Winnerのクラシックギター弦に共通する特徴は、低音弦のナノポリッシュコーティングです。コーティングにより錆や汚れの堆積を防ぎ長寿命を実現します。

同様のアプローチはダダリオのXTシリーズなど各弦メーカーが行っており、二番煎じとも言えますが技術が同等であるともいえます。

コーティングは「超極薄」をうたっており、音への影響も少なそうです。

高音弦の組み合わせは3種類

弦のラインナップはサバレスと同じく、共通の低音弦にナイロン/カーボン高音弦を組み合わせることで3種類用意されています。

モデル高音弦の組み合わせ特徴
WR150すべてナイロン伝統的な甘い音を指向
WR160/1661,2弦がナイロン、3弦がカーボン3弦のこもりと、4弦とのつながりを改善
WR170すべてカーボン音量と瞬発力重視

サバレスのカンティーガ(プレミアム)でいうところの、ニュークリスタルカンティーガ、クリエイションカンティーガ、アリアンスカンティーガに対応するアプローチです。

WR160とWR166の違いは調べてもはっきりしたことがわかりません。

どうも、WR166はボールエンドで、WR150/WR160/WR170はタイエンドっぽいのですが、サイトによっては逆になっています。

テンションは3種類

すべての弦のラインナップにおいてテンションは3種類(ロー、ノーマル、ハードです。

たとえばWR160の場合、ノーマルとハイのテンションは以下のようになっています(ローはテンションが見つかりませんでした):

WR160-NWR160-H
1弦7.45kg7.85kg
2弦5.68kg5.92kg
3弦6.17kg6.58kg
4弦7.02kg7.32kg
5弦6.61kg7.15kg
6弦6.82kg7.38kg
合計39.75kg42.2kg

いわゆる普通のテンション設定を狙っているようです。

ローテンションは日本では今のところ取り扱いがなく、AliExpressやAlibabaでもあまり売られていません。

日本のギター専門店やプロ奏者も高評価

Aliceブランドの弦はこれまで日本のギター専門店が扱っているのを見たことがありません。

しかしながら、Winnerは日本有数のクラシックギター専門店であるギターショップアウラが販売しており、弦の紹介でも高評価を得ています。

1弦、2弦はナイロン製。ナイロン製らしい柔らかなタッチ性と瞬発性を両立した弦。3弦のカーボン弦についてもナイロンとカーボンの利点を併せ持ったような極めて高い完成度となっています。

低音弦についても非常に完成度が高いものとなっています。高い操作性と余裕のある響きが大きな特徴です。耐久性も高く、超極薄ナノポリッシュコーティングにより、抗酸化性と防錆性があります。

出典:ギターショップアウラ

さらに新商品紹介のページでは以下のようにプロギタリストも高評価だったとしています。

実力派ギタリストによるテストでも高評価を得ており、音の立ち上がり、バランス、弾き心地の良さが際立ちます。

出典:ギターショップアウラ

安かろう悪かろうの弦ではなさそうです。

価格は欧米ブランドより安い

気になる価格ですが、欧米ブランドより安い価格設定になっています。

たとえばメルカリでの販売では本記事執筆時点で以下のとおりです:

モデル価格
WR150-N/WR150-H1,380円
WR160-N/WR160-H1,580円
WR170-N/WR170-H1,780円

低音弦にコーティングが施されていて、高音弦にカーボンが使われている弦としては破格の値段です。

欧米ブランドに戦いを挑む「Winner」ブランド

メーカーはWinnerシリーズについて、「スーパー コンサート パフォーマンス(super concert performance)」のために設計された製品群であると明言しています。

これはこれまで中国メーカーが主戦場としてきた低価格製品ではなく、欧米ブランドに真っ向から勝負を挑む意欲的なブランドであるということでしょう。

一方、ギターショップアウラがまだ1種類しか仕入れていないことから、日本のクラシックギター界においてはまだ様子見であることがうかがえます。

Winnerが黒船となってその名の通り「勝者」となるのかそれともこのまま去っていくのか、しばらく動向から目が離せません。

私も買ってレビューしてみたいと思います。

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