クリアな音を実現 ダブルホールや弦留めチップの効果について

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クラシックギター専用 弦管理アプリ公開!

この記事で紹介している弦の交換日や、弾いてみた音色の感想(レビュー)をスマホで簡単に記録・管理できるWebアプリ『ReString Logger』を公開しました。

「あの弦、いつ張ったっけ?」「前に試したときの印象は?」という悩みを解消し、次の弦選びを劇的にラクにする読者限定のツールです。

クラシックギターのブリッジの弦を留める部分は重要な意味を持っています。しっかりとサドルに弦を押さえつけることで弦の振動を表面版に伝えやすくするといわれています。よりしっかりと押さえつける効果があるのがブリッジのダブルホール構造や弦留めチップです。

ダブルホール構造のブリッジ

最近のギターの中にはブリッジにダブルホール構造を採用しているものがあります。

ダブルホール構造のブリッジ

上の写真のように私のギターもダブルホール構造になっているのですが、弦を通す穴が普通は1つの弦に対して1つなのが、2つ開いています

ダブルホールブリッジのギターへ弦を張るときはまず1つの穴に弦を通します。

ダブルホール構造のクラシックギターへの弦の張り方その1

そして、1度戻した後で2つ目の穴に通します:

ダブルホール構造のクラシックギターへの弦の張り方その2

弦の先を1度目に通したときにできたループに通して完成です。

ダブルホール構造のクラシックギターへの弦の張り方その3

ちなみに、2つあるうちのどっちの穴に先に通すかは決まっておらず、ギターによって異なるようです。間違った穴に通すと指板に対して斜めに弦が張られることになるので注意してください

ダブルホール構造自体は実はトーレスの時代より前から存在するそうです。それがまた復活するというのは面白いですね。

ダブルホール構造のメリットは2つあります。

弦が簡単に張れる

1つ目は弦が簡単に張れるようになる点です。

普通のブリッジだと弦を穴に通した後、弦に先を巻き付けてねじりつけて留めます。ダブルホールだと上の説明のように、2回通して最後にループに入れるだけです。

弦を簡単に止められる上に抜けにくいので面倒な弦交換の時間を短縮することができます

音がクリアになる

もう1つのメリットは音が抜けが良くなりクリアになるという点です。

通常のブリッジで留めた弦を横から見るとこういう感じになります:

シングルホールのクラシックギターのブリッジを横から見る

ポイントは、ループによって弦が上に持ち上げられている点です。サドルの後ろの斜めになっている部分の角度が急な方が弦をサドルに押さえつける角度が強いわけですが、シングルホール構造だと自分で自分を持ち上げる構造になっています。

さらに、本来は下に押さえつける力をすべてサドルに与えたいところを、自ら弦を上に持ち上げる力を加えてしまっています。

これにより、角度が浅くなるうえにサドルに押さえつける力を自ら分散しています

ダブルホール構造のクラシックギターを横から見る

一方、ダブルホール構造のクラシックギターを横から見るとこうなります。サドルを超えた弦は素直にブリッジへと刺さっています。上へ持ち上げる力もなければ角度を浅くする要因もありません。

これにより、弦の振動がよりダイレクトに表面版へと伝わり、クリアな音が出るといわれています。

張りを強く感じることも

ダブルホール構造は良いことばかりではなく、弦の張りが強くなったように感じることもあります

また、音の変化が必ずしも万人に良い変化となるとは限らず、良いか悪いかは使ってみないとわからないところがあります。

細い弦は結び目を作った方が安全

普通のブリッジに比べて留めやすいダブルホールですが、抜けるときはやっぱり抜けます。このため、高音弦などの細くて抜けやすい弦は結び目を作っておいた方が安全です。

ダブルホールと言えど抜けると表面版を傷つけるので。。。

シングルホールと同じ結び方もできる

ダブルホールだからと言って常に2つの穴を使わなくてはいけないわけではありません。

1つの穴だけ使ってシングルホール構造と同じ結ぶ方もできます。

もう少し柔らかい音が欲しい時などは特定の弦だけこうするのもありです。

トリプルホールという方式も

さらに穴を一個増やしたトリプルホールという方式もあります。この場合、後述のスーパーチップのようになっているようです。

弦の角度はダブルホールと変わらないでしょうから、固定の安定感向上が目的でしょうか。

ダブルホールと同じ効果を持つ弦留めチップ

この効果はシングルホールのギターでは得られないのかというとそういうことはありません。ダブルホールと同じ効果を生むアクセサリーがあります。

以下の表が一覧です:

商品名材質価格その他
スーパーチップ牛骨/象牙牛骨:4500円ほど、象牙:6000円ほど弦留めチップの元祖
TORRES BEADS牛骨2000円〜3000円ほど日本製、トーレスのレオナを参考に開発
GGクリアトーンアルミ2000円ほどアルミ製なので安い
ロゼット ストリングタイナイロン3000円ほど色と形にバリエーションあり
フェリペコンデ ストリングタイガラリス(生分解性プラスチック)4000円ほどデザイン性に優れる
シンプルチップ(販売終了?)象牙 2000円ほど象牙なのに安い
TENOR TST-Gガラリス5000円ほど象牙のような見た目

以下がそれぞれの説明です。

スーパーチップ

おそらくもっとも最古参のものがスーパーチップです。ギターショップのファナが開発したようです。。

クラシックギターのスーパーチップ
fanaのHPより

スーパーチップは上の写真のように3つの穴を持つ三角形のアクセサリーです。ブリッジの穴に弦を通した後、スーパーチップの左上の穴に通します。そして下の穴からスーパーチップの裏へ弦を通したあと、右上の穴から弦を表に出し、左上と下の穴を通っている部分に通します。

これにより、ブリッジ部分は単に1つの穴に直線に弦が通っているだけとなり、サドルへの力が増します。また、ブリッジ部分にねじり付けなくていいので、ブリッジに傷をつけないという効果もあります。

材質は牛骨と象牙の2種類がありますが、最近は牛骨しか売っているのを見かけません。

TORRES BEADS(トーレスビーズ)

トーレスの有名なギター「レオナ」に使われていた弦留めビーズを参考に開発された弦留めチップです。

日本製かつ牛骨製で、ブリッジにあたる面に弦が出なかったり、弦の取り付け面にへこみがあって目立たなかったりなど、さまざまな工夫がなされています。

実際に使ってみたレビューはこちらを参照ください:

GG クリアトーン

現代ギター社が開発した弦留めチップです。

上の写真でもわかる通りこちらは短いアルミ製の筒の両端と真ん中に穴が開いています。使い方はほぼ同じで、ブリッジを通した弦を真ん中の穴に通し、左もしくは右の端から弦を出し、ループに入れます。

効果はスーパーチップと全く同じなのですが、材質の違いが音の違いを生むといわれています。スーパーチップは牛骨/象牙なので柔らかめの音、GGクリアトーンはよりはっきりした音になるそうです。

私も以前これを使っていましたが、確かに音がかなり明瞭になりました。

また、材質の違いから、値段はGGクリアトーンの方がスーパーチップよりもかなり安いです。

私も以前クリアトーンを使っていましたが、確かに音がクリアになりました。ちょっと小さいので弦を張るときに手間取ることがあるのが難点です。

ロゼット ストリングタイ

材質がナイロンの弦留めチップです。

ナイロン製なので牛骨や象牙よりもさらに柔らかい音になると思われます。

色や形にバリエーションがあるのが特徴で、3つ穴が正面を向いているもの(スーパーチップ方式)と両脇と真ん中に穴があるもの(クリアトーン方式)の白/黒色があり、合計4種類となっています。

ナイロン製なのにアルミ製のスーパーチップとあまり値段が変わりません。

ナイロンは柔らかいのでギターへ傷をつける可能性は低そうです。また、軽量なので音への影響も少ないかもしれません。

フェリペコンデ ストリングタイ

ギターアクセサリで有名なフェリペコンデが販売しているストリングタイですシンプルなデザインが多い弦留めチップの中では割とデザインに凝っています。

良くも悪くもつけているのが目立ちそうです。

材料がガラリスという生分解性プラスチックなのも特徴です。なんと牛乳を原料とするプラスチックで、硬度が高く磨くと艶やかになるそうです。色はアイボリーとブラウンの2種類です。

シンプルチップ

象牙製なのに格安の弦留めチップです。

象牙製なのに価格が2000円ほどと格安です。象牙やブリッジでも牛骨より良いという話もあるので、弦留めチップでもいいかもしれません。

どうやら卸ではなく製造直売となっているらしく、こちらのマツバラというYahooショッピングのストアから買えます。

追記:販売終了になったのか、店がなくなってしまいました。

TENOR TST-G

ガラリスという特殊なプラスチックを使った弦留めチップです。

詳細はこちらの記事を参照ください:

ギターの不満解消、あるいは弦交換時間の短縮に

ダブルホール構造のギターをあえて狙って買う人は少ないかもしれませんが、オーダーする際にはダブルホールにするとクリアな音と快適な弦交換ができます。

シングルホールのギターの人も、弦留めチップを使うことでダブルホールと同じ効果を得ることができます。こちらの方が選択肢が多いのでむしろ試し買いがあるかもしれません。

よりクリアな音が欲しい人、弦交換の手間を少なくしたい人は試してみてはどうでしょうか。

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この記事を書いた人
かーる(クラシックギター研究室 主宰)

クラシックギター歴35年、国際ギターコンクール入賞。愛器「ヘルマン・ハウザー2世」、「ヘスス・ベレサール・ガルシア」とともに、クラシックギターのプレイヤー目線の実践的ノウハウを発信しています。

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