あなたには違いがわかる?ギターの裏板に使っている材料のブラインドテスト

GGWS-1Sにおいた桜井 Maestro-RF メイプル横板/裏板 楽器
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ギターにおいて裏板の材料は重要とされ、その違いによる音の違いがまことしやかにささやかれています。でも、本当にあなたにはその違いがわかるのでしょうか?Leonardo Projectというプロジェクトはブラインドテスト動画を作成しています。この動画は単なるマニアックなクイズではなく、実は重要なことを提起しています。

音声のみの動画でブラインドテスト

この動画はLeonardo Projectというプロジェクトが作成したものです。

このプロジェクトについては後程説明するとして、早速ブラインドテストの動画の音声を聴いてみてください:

曲はヴィラロボスのトリスローザです。ブラインドテストなので映像はなく真っ黒です。

曲は1曲ですが、演奏の途中でギターが何度も変わっています

この動画を聴いて以下の点を答えてみてください:

  • 何本のギターの音が聴こえましたか?
  • 中にはローズウッドやマホガニーといった熱帯産の木材を使っていないギターもありますが、全体のギターのうちそれらは何本でしょうか?

それぞれのギターは裏板/側面板に使っている材料が違います。また、ネック、指板、ブリッジに使っている材料も変えています。

しかしながら、表面板はすべて松(スプルース)で力木(ブレーシング)のパターンを含めた構造や使っている弦は同じです。また、演奏者も同じです。

正解はこちら

正解は。。。

全部で16本のギターが登場し、そのうち熱帯産の材料を使ったものが8本です。

実際に演奏している映像付きの動画がこちらです:

また、それぞれのギターの材料をまとめたものがこちらです:

Leonardo ProjectのHPより
Leonardo ProjectのHPより

正直言って、私にはまったくわかりませんでした。時々音が変わったかな?という気はしましたが、伝統的な材料かなんてわからないし、ローズウッドとマダガスカルローズウッドの違いも。。。

ちなみに、アンケートを取った結果、人々が答えたギターの数の平均は”5″だったそうです。

さらには新聞紙を重ねたもので裏板と側面板を作ったギターの動画もあります:

…すみません、まったく違和感がありません。

持続可能なギター作りを目指すLeonardo Project

この動画を作成したのはLeonardo Projectというプロジェクトです。

良く知られているように、ギターに使われる材料のうち、特に裏板や側面板、指板、ネック、ブリッジに使われる熱帯地方の木材は枯渇が深刻に心配されています

国際的にワシントン条約などで規制はされていますが、なかなか改善されないのが事実です。

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このため、プロジェクトでは持続可能(sustainable, サステイナブル)なギター作りを目指し、熱帯産の木材を使わないギター作りに取り組んでいるそうです。

上で紹介したブラインドテストもその一環で、本当に熱帯産の木材を使わないとだめなのか?ということを問いかけています

裏板や側面板の違いで音があまり変わらないことはトーレスも実証

上の動画では新聞紙を使ったギターが紹介されていましたが、過去にはあのトーレスも同様のことをしたのだそうです。

トーレスは表面板こそが重要であって裏板や側面板の材料はそれほど重要でないと考え、ボール紙でギターを作ったのだとか。

様々な代替材料が存在

プロジェクトはでは以下のような材料をローズウッドなどの熱帯産の木材の代わりとして位置付けています:

ブナ(Beech), カバノキ(Birch), トネリコ(Ash), クリ(Chestnut), プラタナス(Plane), ハンノキ(Alder), サクラ(Cherry), クルミ(French Walnut), ポプラ(Poplar), ニセアカシア(Black Locust (robinia pseudoacacia))
セイヨウナナカマド(Rowan(sorbus aucuparia)), ツゲ(Boxwood), カシ(Oak)

Leonardo ProjectのHPより

また、指板やブリッジには以下のような木があるそうです:

ヨーロッパイチイ(Yew (taxus baccata)), サービスツリー(Service Tree(sorbus domestica, other English names include Sorb Tree and Whitty Pear)) , セイヨウスモモ(Plum (prunus domestica))
ツゲ(Boxwood(buxus sempervirens)), ニセアカシア(Black Locust(robinia pseudoacacia)), ライラック(Lilac (syringa vulgaris)), キングサリ(Golden chain (laburnum))

Leonardo ProjectのHPより

日本語名は私がつけたので間違っているところもあるかもしれません。

良く知った木からあまり知らない木までありますが、上の動画でもいくつか登場しており、違いが判らなかった私には何かを言う資格はありません。。。

日本の製作家の参加は無し

残念ながら今のところ日本のギター製作家の参加はないようです。

日本のギター愛好家は材料にこだわる人が多く、変わった材料を使っても売れないからでしょうか?残念なことではあります。

長く愛される楽器であるために

あの動画を見せられると、ハカランダ(ブラジリアンローズウッド)信仰って何なんだろう?という気にさせられます。

もちろん、ギターは芸術品でもあるので見た目も立派な要素の一つではあるのですが、音で裏板や側面板の木材を選ぶのはあまり意味がないのかもしれません。

また、いくら見た目が良いギターや音が良いギターができても、それが長く続かないといずれは廃れてしまいます。

私もメイプル(楓)のギターを使っていますが、特に持続可能性を意識して使っているわけではありません。しかしながら、ギター弾き一人一人の意識が全体を変えるのだと思います。

こういった取り組みを通して長く愛される楽器であってほしいものです。

楽器豆知識
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この記事を書いた人
かーる(クラシックギター研究室 主宰)

クラシックギター歴35年、国際ギターコンクール入賞。愛器「ヘルマン・ハウザー2世」、「ヘスス・ベレサール・ガルシア」とともに、クラシックギターのプレイヤー目線の実践的ノウハウを発信しています。

【当ブログの主なテーマ】
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・無料かつ安全な「AIクラシックギターソムリエ」の提供
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コメント

  1. イーグルくん より:

    トップ板を横双極振動モード(Cross modal, cross bipolar mode)でブリッジをシーソー振動しやすい形に削ってから、側板の狙ったところを薄くしたら、特に3弦、4弦の詰まってた響き中心に違いがハッキリ分かりました。トーレスは1863年の側板を地元の家具解体した梨の木で削った0.8ミリで作って(クラギの側板は普通は2ミリ、ラミレスは2.5ミリ)、ボディサイズ中型(630程度)なのに驚くほどホール全体に鳴り響くギターを作ったし、側板の板厚薄くする効果はトップが「らしく」作ってあれば「かなり」かも・・

  2. かーる(クラシックギター研究室 主宰) かーる より:

    イーグルくん 様

    コメントありがとうございます。
    最近はどちらかというと音量をかせぐために裏板と横板は分厚く重くというのが主流ですが、薄くするというコンセプトも面白いかもしれませんね。
    表面板以上に強度的なところは気になるところではありますが。

    いずれにせよ表面板こそがギターの命であるというトーレスの考えは正しそうに思います。

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