気が付けばこのサイトで紹介してきたクラシックギター弦のレビューに関する記事が70以上に。これを記念して、これまで私が使ってきた中でおすすめ9選の弦を紹介したいと思います。これまであまりクラシックギターの弦にこだわったことがない人はぜひ試してみてください。

以下の記事で70以上の弦のレビュー/感想/情報記事をまとめています

王道を行く定番弦
まずは王道を行く定番弦をご紹介します。
ダダリオ プロアルテ ノーマル(EJ45)
アメリカの弦メーカーであるダダリオは、クラシックギターだけでなくエレキギターやアコースティックギターの世界でも人気です。
クラシックギター用の弦としては「プロアルテ」というブランドが昔から人気で、「特徴のなさ」が特徴になっています。
弦にはそれぞれ甘い音、歯切れが良い音、重い音など特徴があるのですが、プロアルテは絶妙にフラットな音作りです。
このため奏者の弾き方による音の変化が大きく、上級者ほどその価値を認める傾向にあります。
また、レーザーによって高音弦の真円度を測定することにより、昔ながらのナイロン弦の中では音程が良い点も好まれています。
欠点は現代のほかの弦に比べると音が地味に聞こえる点でしょうか。比較的最近リリースされた弦はどちらかというと派手でわかりやすい音が出ます。また、3弦の音がぼやけがちなのは伝統的なナイロン弦あるあるです。

自分の中で音の基準を作る意味でも一度は試して損はない、たまに使うと原点に立ち返れる良い弦といえます。
オーガスチン レッド
オーガスチンは世界で初めてナイロン弦を開発したメーカーであり、クラシックギター界に革命をもたらしました。
世界初のナイロン弦がいまだに第一線で活躍しているとは本当にすごいです。
そんなオーガスチンの中でおすすめなのがレッドと呼ばれる、クラシックと呼ばれる世界初のナイロン弦の高音弦にミディアムテンションの低音弦を合わせたセットになります。
特徴は甘い高音と伸びやかな低音です。
オーガスチンの高音弦は独特の甘い音がすることで知られ、特にクラシックの音はほかのナイロン弦では得られません。
低音弦は明るくて伸びやかな音がし、素直にクラシックギターって良いなぁ、と思わせてくれます。
昔はクラシック高音弦の音程が悪いといわれ、プロは大量に高音弦を買ってその中から音程が良いものを選別して使っていました。しかしながら、私が使った限り最近は音程の問題は良くなっているように思います。
残る欠点は低音弦の寿命の短さでしょうか。
昔ながらの弦ゆえに、最近では当たり前になっているコーティングや新素材が使われておらず、低音弦の音が比較的早く劣化します。
明るさや伸びやかさが売りなのも寿命の劣化を早く感じさせる原因の1つです。

現代クラシックギター弦界の「レジェンド」といえる存在なので一度試す価値はあるでしょう。
ラベラ 2001 ミディアムテンション
1640年創業のラベラですが、日本ではそこまで人気が高い弦とは言えないかもしれません。
ただ、この「2001」はアンドリュー・ヨークが使うなど、プロの間でも愛用者が多い優れた弦となっています。
その名の通り比較的新しい弦で、演奏家や楽器製尺者の需要を調査して音作りをしたという気合の入った弦です。その意味で「定番弦」に入れていいものか悩みましたが、音としては定番なのでこちらに含めました。
高音弦は独自のNylon 202を使用し、抜けが良いのが特徴になっています。音がこもりがちなナイロン弦ですが、このあたりが需要調査の成果でしょうか。
また、手触りがよくてスラーしやすいとも感じました。
低音弦は重みよりもスピード重視と感じました。ミディアムは5種類あるテンションの中の下から2番目なので、テンションを変えるとまた印象が変わるかもしれません。
欠点は…正直あまりないです。あえて言えば面白味のなさと入手性の悪さでしょうか。ネットなら気軽に買えますが、たとえばショッピングモールの楽器店では取り扱いがないかもしれません。

強烈な個性はないですが、噛めば噛むほど味が出る系といえます。
プロも愛用する現代的な弦
次は最近発売されてプロも愛用する現代的な弦のおすすめです。
サバレス クリエイションカンティーガ プレミアム ノーマルテンション
プロの中で評価が高いのがフランスの弦メーカーであるサバレスの、クリエイションカンティーガ プレミアム ノーマルテンションです。
その最大の特徴は低音弦にあります。サバレスというと昔は歯切れの良さが特徴とされていましたが、この弦は重厚感あふれる音が出ます。
重厚感はしっかりありますが音質のコントロール性も備えており、決してただただ重いだけの音の弦ではありません。
また、低音弦に新素材の芯線に新しい合金の巻き線を使うことで一般的な弦よりも長寿命です。長持ちするので結果的にコストパフォーマンスが高く、弦交換の手間も減らせます。
ちなみに「プレミアム」がつかない「カンティーガ」もありますが、そちらは巻き線が従来のもので寿命が少し短く、音はもう少し軽いです。こちらが好みの人もいます。
高音弦はこういったセット弦には珍しく、1,2弦はナイロン弦なのに対して3弦はカーボン弦を使用しています。
これにより3弦の音がぼやけるのを回避しつつ、ナイロン弦の甘い音も楽しめます。
こういった3弦だけカーボン弦にするとい使い方はプロのギタリストはやっていたのですが、メーカーが出しているセットとして販売するのは珍しいです。
欠点は1弦が少しキンキンした音になりがちなところです。ナイロン弦ではあるのですが組み合わせるギターや弾き方によってはきつい音になり、1弦だけハナバッハにする人もいます。
また、高音弦がほかの弦に比べて傷つきやすい印象です。

プロの間で広く使われる評価の高い弦ですし、コストパフォーマンスも良いので、試して損はないと思います。
ノブロック CXカーボン ダブルシルバー 300ADC
比較的最近日本で広く売られるようになったノブロックの弦は、海外ではすでに高い人気を誇り、若いギタリストがこぞってコンクールで使っています。
特に人気が高いのがCXカーボンと呼ばれる高音弦がカーボンのセットです。
カーボン弦というと音量があって音がぼやけない一方、音の変化がつけづらくキンキンした音になるのが欠点でした。
CXカーボンはその欠点を改善しており、音の変化も付けられ、キンキンしづらい弦に仕上がっています。大音量でまっすぐ音が飛ぶのでステージで使いやすいのでしょうね。
低音弦はダブルシルバーと呼ばれる銀の配合率を高めた巻き線と、防弾チョッキにも使われるケブラーと呼ばれる繊維を使った芯線を組み合わせており、こちらも現代的で長寿命な弦です。
欠点はその価格。ざっくりいってオーガスチンレッドやプロアルテの倍くらいします。
低音弦の寿命が長いので価格差ほどコストパフォーマンスが悪いわけではありませんが、ちょっと二の足を踏むかもしれません。
また、全体的に現代的な音なので嫌いな人は嫌いです。

諸手を挙げておすすめとはいきませんが、個人的には良い弦だと思いますし、これからのクラシックギターの音はこういう方向に行くのかなぁと感じさせられます。
ハナバッハ エクスクルーシヴ ミディアムテンション
ドイツの弦メーカーであるハナバッハの高級弦です。
昔からハナバッハはダダリオ、オーガスチン、サバレスよりもワンランク高い弦でしたが、エクスクルーシヴはそのハナバッハの中で最も高い弦に位置付けられています。
価格はかなり高いのですが、それだけに銀の含有率の高いメッキが低音弦に使われていたり、芯線も新素材だったりとこだわっています。
また、1,2弦はナイロンですが3弦にはチタニウム弦を使って音のぼやけ対策をしており、ハナバッハの持てるノウハウや技術をすべてつぎ込んだ弦といえるでしょう。
音はとにかく「クラシックギターらしい」音を素直に進化させたという印象。
上で紹介したカンティーガプレミアムやノブロックはある意味音を違う方向に進化させた弦ですが、エクスクルーシヴは横綱相撲で押し切ってきます。
欠点は価格。本記事執筆時点で定価が7,700円+税で、実売価格も5,000円を超えてきます。

良い弦であることは確かなのですが、さすがに高すぎるというのが正直な印象です。
ちょっと変わった個性的な弦
最後にきらりと光るものがある個性的な弦を紹介します。
ドーガル ディアマンテ エクストラソフト
イタリアの弦メーカーであるドーガルのクラシックギター用弦です。
ドーガルはクラシックギターではそれほどメジャーではありませんが、バイオリンやマンドリンではよく知られています。
ディアマンテはとにかくテンションが低くて弾きやすいのが特徴。「エクストラソフト」の名前が示す通り、私が使ってきた数々の弦の中で一番テンションが低い弦です。
楽器への負担が少ない点も売りにしており、古い楽器にも安心して使えます。
そして、テンションが低いのに音がしっかりしているところがおすすめのポイント。
特殊な素材を使っており、高音弦はカーボンを加えたナイロン、低音弦の芯線にケブラーというスピーカーにも使われる繊維を使うなど、色々と独特です。
惜しむらくは日本ではこのエクストラソフトは販売されていない点。Strings by Mailなどの海外通販サイトから個人輸入する必要があります。

びっくりするくらいテンションが低く、指が楽になります。
ノブロック エリタクス
上でも紹介したノブロックの、バイオナイロンという素材を高音弦に使用したセットです。
ナイロン弦やカーボン弦のなんとなく人工的な音ではなく、自然で丸みのある音を目指しています。
その狙い通り確かにぼやけることなく、かつ音量や音質をコントロールしやすいなかなか魅力的な弦です。
低音弦も上で紹介したダブルシルバーとは異なるものとなっており、こちらも丸くて優しい音がします。海外の楽器ショップの中にはこの低音弦にCXカーボンの高音弦を組み合わせて標準で張っているところもあるなど、意外と人気です。
半面、3弦がぼやける、低音弦の重みがないというのはないものねだりでしょうか。

もっと優しい音でクラシックギターを弾きたいと思う方にお勧めです。
アクイーラ ルビーノ
アクイーラはイタリアのメーカーで、とにかく独自路線の弦ばかり出しています。
すべての弦が個性的なのですが、見た目のインパクトがすごいのがルビーノです。赤茶色の高音弦と赤色低音弦で、張るととてもクラシックギターには見えません:

見た目に反して音はそこまで個性的ではなく、力強い音で良く鳴る弦です。見た目さえ普通ならなぁ、とちょっと残念な気持ちになります。
一番の問題は日本での入手性の悪さです。買えるには買えますが高いので、Strings by Mailなどで個人輸入したほうが良いでしょう。

見た目の個性を大事にする方にお勧めです。
どれも一度は使ってみてほしい弦ばかり
クラシックギターが好きな人でも、弦はいつも昔ながらのプロアルテかオーガスチンばかりという人がいます。確かにプロアルテやオーガスチンも良い弦ですが、各社切磋琢磨して次々と新しい弦をリリースしている時代です。
ここで紹介した弦はどれも、70種類以上の弦を使ってきた私が自信を持ってお勧めする弦ばかりです。一度試していただければクラシックギターの世界が変わるかもしれません。
ただ、正直言って70種類以上の弦の中から絞るのはなかなか難しい作業でした。他にも紹介したい弦がいろいろ…。
もっと深く、マニアックな世界を知りたい方はこちらの記事をどうぞ:

















































コメント
ギター弦のレビューをいつも参考に読ませていただいております。レビューを参考にいろいろと試して結局のところ落ち着いたのはクリエーションカーティンガのプレミアムでした。書かれておりますように私もプレミアムの低音が気に入って使っています。レビューを参考にハナバッハのエクスクルーシブを初めて使って見ましたが、まさに綺麗に鳴る本当に良い弦です。値段が高いのが厳しいですが、楽器がちょっと変わったかなというくらいの音ですね。
通りすがりさん:
当ブログのレビューを参考にしていただいてうれしいです。
クリエイションカンティーガプレミアム、いい弦ですよね。私も好きです。
ハナバッハのエクスクルーシヴもいい弦ですが、おっしゃる通り値段が。。。もう少し安いと使いやすいのですけどね。
フィガロ弦もいい弦なのでまだ使ったことがなければぜひ。
フィガロは高音だけ使ったことあり高音だけでもなかなか良いなと思いカーティンガプレミアムの低音と組み合わせて使ってます。価格面でそうしたのですが悪くない感じでした。一度、フィガロの低音もトライしてみます。
ぜひ試してみてください。
派手さはないですが、弾いていて楽しい弦です。
フィガロを使ってみました。低音は硬めの弦で少々張りにくいですが音は深みあり素晴らしいです。指にかかりやすい感触(タッチでのフィット感)がよく弾きやすいと思います。エクスクルーシブとは音質が異なりますがどちらもかなり良い音です。深みのある音が好きならフィガロの方ですかね。
気に入られたようで何よりです。フィガロはこだわって作られているだけのことはありますよね。それだけに高価なのがユーザーには辛いとこですが、ここぞというときに使いたい弦です。